永住権の申請とその他諸々
2016.04.16 15:37|日記, diary|
まず、いつものスタートを始める前に、どうか一つだけ言及させてください…。
大半の方には申し上げる必要のないことなので本当に多くの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ないのですが、ある一握りの方にどうしても申し上げずにはおれません…
わたくしは
『聞けば自動で返事や情報が出てくるディスペンサー』
ではありませんし
『無料であなたの旅をオーガナイズするエージェント』
でもありません!!!!!
質問されたことに関しては、調べたり何なりして時間を割いてお返事を申し上げていますし
旅行や滞在に関することの情報を提供するだけでなく、『もっと安いところはないのか』などと聞かれても、それは普通旅行会社やそういうサービスのところにお金を払ったりして得られる情報やサービスです。
私にそれを求められるのであれば、仕事としてしかお受けできません。
確かに私が好きで答えていることですが、せめて『返事ありがとう。』の一言でもいいから返事を下さい。
質問して返事をもらって分かりましたとかありがとうとか何のレスポンスもないというのは、私の考える『マナー』では、ずいぶんと失礼なことだと思います。普通日常生活の中で誰かにものを尋ねた時も、同じように何の返事もせず、ただその場を立ち去るのですか?
あなたが質問した先に居て、返事をしているのは機械ではなく人間です。実際に姿を見せて面と向かって話をしているわけではありませんが、人と人との間で行われているのは、たとえインターネット上でも同じ行為です。
最近少々そのような件が重なり、私事ながら多忙の中返事を差し上げているにもかかわらず何のレスポンスもないというのに不快感を抑えられませんでした。
今後こういうことが続くようであれば、原則質問にはお答えできませんという対応にしようかと考えてしまいます…。
エントリーの最初に文句から始まってしまい、皆様、申し訳がありません…。
牛です。
気分を害する話はもう↑で終わりです。
さて、早いもので4月も半ば。
12か月のうち3分の1が過ぎたのかと思うと恐ろしいことこの上ありません。
先日から、九州(主に熊本県)で大きな地震が連続して発生していると耳にしています。
このブログを読んでくださっている方にも、被災されてしまった方はいらっしゃるのでしょうか…。
このブログでも何度か申し上げているような気がしますが、嬉しい&ありがたいことに親日家の多いアイスランド。
今回の地震についてもアイスランド語で報道があり、『大丈夫かな…。』と心配したり、気遣いをしてくれている声が聞こえています。
遠く離れており、なかなか出来ることはありませんが、わたくしも皆様が一日でも早く心穏やかに過ごせる日が来るのを願っております。
アイスランドと日本は良く似ていると言いますが、私が物心ついてから日本で発生したような『大地震』と呼ばれるような規模の地震は、アイスランドではなかなか発生しません。
こちらはプレートが生まれるところ、日本はプレートが沈むところということで、違いがあるのかもしれません。
アイスランドではどちらかというと、火山の活動による被害が定期的に発生しています。日本史を勉強する上で避けては通れない『天明の大飢饉』のようにほぼ地球の裏側にまで影響が出るような火山の大噴火が起きているのがこの国です。
私は日本では近畿地方に住んでいたので地震には免疫がありましたが(でも何度経験しても怖いし、嫌いです…。)、2009年以降アイスランドに住むようになって二度噴火を体験したときには、『どこにいても人間は自然の脅威に対抗できないし、避けることもできないのだな』と感じました。
アイスランド人も、日本ほどではないほども地震の被害を受け、それ以外にも常に太刀打ちのしようがないほどの自然の脅威にさらされて生きてきた人たちなので、その不安や怖さに打ち勝って、日本の皆様にもまた穏やかな生活が戻ることを心から祈っていくれているのかも、と思います。
自分の話ばかりで恐縮ですが、かつて
『将来は外国で生きていきたい』
と思うようになったとき、私の心の中には3つの希望がありました。
1. 夜空の星が美しい国に住みたい。
2. 海が近くにあるところに住みたい。
3. 地震がないところに住みたい。
結局アイスランドに恋をしてしまったので希望3は実現しませんでしたが(それでも日本の生まれ故郷に比べるとここでは地震はほぼ無いに近いので、私にとっては8割くらいは実現していると言ってもいいかもしれません。)、世界中の建物を見てまず頭をよぎるのが
『こういう建てかたで地震に耐えられるのか』
とか
『こんなに高い建物を建てて、地震の時にどうするつもりなんだ』
ということばかりなのは、やはり生きてきた環境のせいなんだろうな、とよく思います。
何はともあれ、移住を夢見た遠い昔から随分日は経ちましたが(もうあれから何年経ったかは現実を突きつけられて苦しくなるので数えないことにします。笑)
先日ようやく、永住権を申請することが出来ました。
他の国や日本がどうなっているのか分からないのですが、アイスランドに限って言うと、アイスランドに外国人が移住するためには、いくつか方法があります。
まず、EEAエリア内出身でその国籍を持っている人は、滞在許可証や労働許可の申請無く移住することが出来ます。
次に、EEAエリア外出身の人は、滞在許可証の申請をしない場合、90日以内に限り、一時的に居住することが出来ます。ちなみにこの期間、就業し収入を得ることは禁止されています。
その次に、EEAエリア外出身でも滞在許可証や労働許可証を申請してアイスランド国内に90日以上の滞在をする人です。この内、『交換留学生用の滞在許可証』を申請した人は、1年以上の滞在は認められていません。(すなわち2度目の更新は出来ません。)
交換留学生以外の滞在許可証で更新に制限が設けられているのは『特別職でない就業許可付き滞在許可証』です。ただしこちらは例外があり、移民局に認められた場合には2回以上の更新が許可される可能性もあるようです。(実際に例外的に許可をもらっている人は身の周りに居ませんが…)
複数回の更新が認められていても、永住権の申請資格を得られない学生用滞在許可もあります。
私は2009年から長期出国することなく連続して滞在許可を申請し続けていましたが、09年から12年までは学生用の滞在許可であったため、『この国に居ることだけは認めてもらっている』という状態でした。
その後専門職に就けたため、12年から『専門職就業滞在許可証』の申請が出来るようになりました。
ちなみにこの専門職就業用の滞在許可証を申請するには、『その仕事が専門職である』ことに加え、アイスランド移民局が制定している『ひと月当たりの最低限の収入金額以上』の賃金を得ている、という証明が必要です。
この専門職就業滞在許可を4年間、途切れることなく更新し続けることが出来れば、『永住権の申請』が出来ます。
ちなみにこの『永住権』と、『国籍取得』は違うものです。
大まかな違いを言えば
永住権は、『外国籍を持ちながらアイスランドに住み続けることを許可する』資格であり、国会議員の選定や大統領選挙など、国政選挙の参政・被参政権は認められません。ただし、地方選挙への投票権は認められ(被参政権については調べていないため不明。)アイスランド国民が負う義務や得られる医療補助などのサービスの大半はほぼ同じように受けることが出来ます。
国籍取得は、まったくもって文字通りで、『アイスランド国民になる』資格です。日本国籍を保持している人の場合、現時点では20歳以上であれば2つの国籍を持つことが許可されていないはずです。(ただし20歳以上でも二つの国籍を持っている人は実際に居て、それが問題になったりすることがあるようです。)
すなわち私がもしアイスランド国籍の取得を希望した場合、公に日本とアイスランド両方の国籍を保持することは出来ず、それは日本国籍を放棄することになります。
この、国籍。
たかが紙一枚の国籍、されど国籍です。
改めて考えてみると自分のアイデンティティの形成にも大きく影響しているのだと気付きました。
周りには元あった国籍を放棄して『アイスランド人になった人』が何人かいます。
ただしそのうち誰もものすごく親しいわけではないので、込み入ったところまで話が聞けていません。
実は私、アイスランドに居住している期間が今年8月で丸7年となるので国籍取得をするための最低限の必要条件は満たすことになります。
しかし…今のところ国籍を変更する気持ちはありません。
何故かと言われると、『例え書類一枚の話であっても、日本人をやめる気持ちはないから』でしょうか。
アイスランドにほぼ7年住み、学生から就業に至り、生活の基盤がこの国に移ってから、自分がどんどん『普通の日本人でなくなってきている』ことを強く感じます。
元々変で『普通の日本人』とは到底言えないような人間ですが、自分の考え方が『いま日本で生活するのならば受け入れなければならない習慣や考え』を受け入れられないようになってきているな、と感じるのです。
自分がどんどん『日本人でないニホンジン』になってきているのを感じるのですが、かといって『アイスランド人』になれる気はしないし『アイスランド人』としては生きていけない気がします。
自分の核にはやはり『日本人的な意識や考え方』があって、それと『郷に入らば郷に従え』の意識で自分の中で折り合いをつけて生活しているので、結局私がなれるのは『アイスランドジン』止まりだろうと思います。
そしてそれは、社会的にも、です。
ぐんさまのように『アイスランドで生まれ育っていれば見た目に関係なくその人はアイスランド人だ』とか『国籍がアイスランドなのであればその人はアイスランド人だ』と他意無く受け取ってくれる人もいるようですが、アイスランド全体を見た時、私個人の意見としては、そのような人はほんの一握りであると思います。
そして上記のように言っているぐんさまでさえ、私が実際いつか日本国籍を放棄してアイスランドの国籍を取得するような日が来たとしたら、彼は私を『アイスランドジン』ではなく『アイスランド人』として見てくれるかと考えると、
正直なところ、分からない、というより難しいと思います。
結局のところどっちにもなれないのであれば、私は中途半端な人間として
『アイスランドで生きている日本人』でいようと、今のところ思っています。
将来日本の法律が変わって二つ以上の国籍の保持が認められるようになったら、アイスランドの国籍取得を目指すと思います。
ヨーロッパ圏内で生活するのにアイスランドの国籍を持っているというのはかなり大きな利点になるので。
ただし、そうでなければよほど、私が『もう日本人では居たくない』と思うような何らかの出来事が起きない限り今のままで一生を終えると思います。
自分の母語を外国人に第二言語として教えていくうえで、日本語教育が発展した理由なども含め、
『何人(なにじん)なのか』
『アイデンティティとは何なのだ』
と考えることが少なからずありました。
今、私自身が生まれ育った国とは別のところで、基本的には自分の母語でない言葉を中心に生活をして、その国で『国民としての義務を果たしている』という立場に立つようになって、
『私は日本人ではないのか?どうすべきなのか?』
と考えることがあります。
そしてやはり
『私は自分という人間として、この国で生きていきたい』
という思いがあります。
その思いを守り、自分の存在をこの国で確立するためにも、今回永住権を申請できたことは、自分の人生においてもとても大きな出来事となりました。
今回このまま無事に永住権の申請が受理され、得られることが出来れば、これまで『いつ強制帰国させられるような悲惨な事態に陥るか』と怯えていた気持ちにもかなり距離を置くことが出来るようになるので、精神衛生面でも大きな違いを生みそうです。
永住権が得られると就業に制限がなくなるので、万一仕事を失っても自分がどんな仕事でも必死でやりさえすればこの国に居続けられるようになります。
それは、私にとって大きなことです。
まあ、このまま無事に定年退職するような年齢になるまで今の仕事を続けていけるように修士課程に入ったり、今年の夏研修に参加するのですが…。
ちなみにこういう
『最悪の事態にも対応できるように』とか、『将来を見据えて今こういう行動をしておく』というのも
私だけというよりは、もっと『日本人の考え方や性質』として身についていることのような気がします。
アイスランド人にこの考え方は全くと言っていいほど通用しませんので…。
今年6月から晴れて身も心も
『アイスランドに定住する日本人』
になれることを祈りつつ、まずは目の前の仕事を片付けようと思います。
あああ、来週からもっと怒涛じゃないか…
頑張ります。
どうか、皆様が笑顔で過ごせる週末になりますように。
大半の方には申し上げる必要のないことなので本当に多くの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ないのですが、ある一握りの方にどうしても申し上げずにはおれません…
わたくしは
『聞けば自動で返事や情報が出てくるディスペンサー』
ではありませんし
『無料であなたの旅をオーガナイズするエージェント』
でもありません!!!!!
質問されたことに関しては、調べたり何なりして時間を割いてお返事を申し上げていますし
旅行や滞在に関することの情報を提供するだけでなく、『もっと安いところはないのか』などと聞かれても、それは普通旅行会社やそういうサービスのところにお金を払ったりして得られる情報やサービスです。
私にそれを求められるのであれば、仕事としてしかお受けできません。
確かに私が好きで答えていることですが、せめて『返事ありがとう。』の一言でもいいから返事を下さい。
質問して返事をもらって分かりましたとかありがとうとか何のレスポンスもないというのは、私の考える『マナー』では、ずいぶんと失礼なことだと思います。普通日常生活の中で誰かにものを尋ねた時も、同じように何の返事もせず、ただその場を立ち去るのですか?
あなたが質問した先に居て、返事をしているのは機械ではなく人間です。実際に姿を見せて面と向かって話をしているわけではありませんが、人と人との間で行われているのは、たとえインターネット上でも同じ行為です。
最近少々そのような件が重なり、私事ながら多忙の中返事を差し上げているにもかかわらず何のレスポンスもないというのに不快感を抑えられませんでした。
今後こういうことが続くようであれば、原則質問にはお答えできませんという対応にしようかと考えてしまいます…。
エントリーの最初に文句から始まってしまい、皆様、申し訳がありません…。
牛です。
気分を害する話はもう↑で終わりです。
さて、早いもので4月も半ば。
12か月のうち3分の1が過ぎたのかと思うと恐ろしいことこの上ありません。
先日から、九州(主に熊本県)で大きな地震が連続して発生していると耳にしています。
このブログを読んでくださっている方にも、被災されてしまった方はいらっしゃるのでしょうか…。
このブログでも何度か申し上げているような気がしますが、嬉しい&ありがたいことに親日家の多いアイスランド。
今回の地震についてもアイスランド語で報道があり、『大丈夫かな…。』と心配したり、気遣いをしてくれている声が聞こえています。
遠く離れており、なかなか出来ることはありませんが、わたくしも皆様が一日でも早く心穏やかに過ごせる日が来るのを願っております。
アイスランドと日本は良く似ていると言いますが、私が物心ついてから日本で発生したような『大地震』と呼ばれるような規模の地震は、アイスランドではなかなか発生しません。
こちらはプレートが生まれるところ、日本はプレートが沈むところということで、違いがあるのかもしれません。
アイスランドではどちらかというと、火山の活動による被害が定期的に発生しています。日本史を勉強する上で避けては通れない『天明の大飢饉』のようにほぼ地球の裏側にまで影響が出るような火山の大噴火が起きているのがこの国です。
私は日本では近畿地方に住んでいたので地震には免疫がありましたが(でも何度経験しても怖いし、嫌いです…。)、2009年以降アイスランドに住むようになって二度噴火を体験したときには、『どこにいても人間は自然の脅威に対抗できないし、避けることもできないのだな』と感じました。
アイスランド人も、日本ほどではないほども地震の被害を受け、それ以外にも常に太刀打ちのしようがないほどの自然の脅威にさらされて生きてきた人たちなので、その不安や怖さに打ち勝って、日本の皆様にもまた穏やかな生活が戻ることを心から祈っていくれているのかも、と思います。
自分の話ばかりで恐縮ですが、かつて
『将来は外国で生きていきたい』
と思うようになったとき、私の心の中には3つの希望がありました。
1. 夜空の星が美しい国に住みたい。
2. 海が近くにあるところに住みたい。
3. 地震がないところに住みたい。
結局アイスランドに恋をしてしまったので希望3は実現しませんでしたが(それでも日本の生まれ故郷に比べるとここでは地震はほぼ無いに近いので、私にとっては8割くらいは実現していると言ってもいいかもしれません。)、世界中の建物を見てまず頭をよぎるのが
『こういう建てかたで地震に耐えられるのか』
とか
『こんなに高い建物を建てて、地震の時にどうするつもりなんだ』
ということばかりなのは、やはり生きてきた環境のせいなんだろうな、とよく思います。
何はともあれ、移住を夢見た遠い昔から随分日は経ちましたが(もうあれから何年経ったかは現実を突きつけられて苦しくなるので数えないことにします。笑)
先日ようやく、永住権を申請することが出来ました。
他の国や日本がどうなっているのか分からないのですが、アイスランドに限って言うと、アイスランドに外国人が移住するためには、いくつか方法があります。
まず、EEAエリア内出身でその国籍を持っている人は、滞在許可証や労働許可の申請無く移住することが出来ます。
次に、EEAエリア外出身の人は、滞在許可証の申請をしない場合、90日以内に限り、一時的に居住することが出来ます。ちなみにこの期間、就業し収入を得ることは禁止されています。
その次に、EEAエリア外出身でも滞在許可証や労働許可証を申請してアイスランド国内に90日以上の滞在をする人です。この内、『交換留学生用の滞在許可証』を申請した人は、1年以上の滞在は認められていません。(すなわち2度目の更新は出来ません。)
交換留学生以外の滞在許可証で更新に制限が設けられているのは『特別職でない就業許可付き滞在許可証』です。ただしこちらは例外があり、移民局に認められた場合には2回以上の更新が許可される可能性もあるようです。(実際に例外的に許可をもらっている人は身の周りに居ませんが…)
複数回の更新が認められていても、永住権の申請資格を得られない学生用滞在許可もあります。
私は2009年から長期出国することなく連続して滞在許可を申請し続けていましたが、09年から12年までは学生用の滞在許可であったため、『この国に居ることだけは認めてもらっている』という状態でした。
その後専門職に就けたため、12年から『専門職就業滞在許可証』の申請が出来るようになりました。
ちなみにこの専門職就業用の滞在許可証を申請するには、『その仕事が専門職である』ことに加え、アイスランド移民局が制定している『ひと月当たりの最低限の収入金額以上』の賃金を得ている、という証明が必要です。
この専門職就業滞在許可を4年間、途切れることなく更新し続けることが出来れば、『永住権の申請』が出来ます。
ちなみにこの『永住権』と、『国籍取得』は違うものです。
大まかな違いを言えば
永住権は、『外国籍を持ちながらアイスランドに住み続けることを許可する』資格であり、国会議員の選定や大統領選挙など、国政選挙の参政・被参政権は認められません。ただし、地方選挙への投票権は認められ(被参政権については調べていないため不明。)アイスランド国民が負う義務や得られる医療補助などのサービスの大半はほぼ同じように受けることが出来ます。
国籍取得は、まったくもって文字通りで、『アイスランド国民になる』資格です。日本国籍を保持している人の場合、現時点では20歳以上であれば2つの国籍を持つことが許可されていないはずです。(ただし20歳以上でも二つの国籍を持っている人は実際に居て、それが問題になったりすることがあるようです。)
すなわち私がもしアイスランド国籍の取得を希望した場合、公に日本とアイスランド両方の国籍を保持することは出来ず、それは日本国籍を放棄することになります。
この、国籍。
たかが紙一枚の国籍、されど国籍です。
改めて考えてみると自分のアイデンティティの形成にも大きく影響しているのだと気付きました。
周りには元あった国籍を放棄して『アイスランド人になった人』が何人かいます。
ただしそのうち誰もものすごく親しいわけではないので、込み入ったところまで話が聞けていません。
実は私、アイスランドに居住している期間が今年8月で丸7年となるので国籍取得をするための最低限の必要条件は満たすことになります。
しかし…今のところ国籍を変更する気持ちはありません。
何故かと言われると、『例え書類一枚の話であっても、日本人をやめる気持ちはないから』でしょうか。
アイスランドにほぼ7年住み、学生から就業に至り、生活の基盤がこの国に移ってから、自分がどんどん『普通の日本人でなくなってきている』ことを強く感じます。
元々変で『普通の日本人』とは到底言えないような人間ですが、自分の考え方が『いま日本で生活するのならば受け入れなければならない習慣や考え』を受け入れられないようになってきているな、と感じるのです。
自分がどんどん『日本人でないニホンジン』になってきているのを感じるのですが、かといって『アイスランド人』になれる気はしないし『アイスランド人』としては生きていけない気がします。
自分の核にはやはり『日本人的な意識や考え方』があって、それと『郷に入らば郷に従え』の意識で自分の中で折り合いをつけて生活しているので、結局私がなれるのは『アイスランドジン』止まりだろうと思います。
そしてそれは、社会的にも、です。
ぐんさまのように『アイスランドで生まれ育っていれば見た目に関係なくその人はアイスランド人だ』とか『国籍がアイスランドなのであればその人はアイスランド人だ』と他意無く受け取ってくれる人もいるようですが、アイスランド全体を見た時、私個人の意見としては、そのような人はほんの一握りであると思います。
そして上記のように言っているぐんさまでさえ、私が実際いつか日本国籍を放棄してアイスランドの国籍を取得するような日が来たとしたら、彼は私を『アイスランドジン』ではなく『アイスランド人』として見てくれるかと考えると、
正直なところ、分からない、というより難しいと思います。
結局のところどっちにもなれないのであれば、私は中途半端な人間として
『アイスランドで生きている日本人』でいようと、今のところ思っています。
将来日本の法律が変わって二つ以上の国籍の保持が認められるようになったら、アイスランドの国籍取得を目指すと思います。
ヨーロッパ圏内で生活するのにアイスランドの国籍を持っているというのはかなり大きな利点になるので。
ただし、そうでなければよほど、私が『もう日本人では居たくない』と思うような何らかの出来事が起きない限り今のままで一生を終えると思います。
自分の母語を外国人に第二言語として教えていくうえで、日本語教育が発展した理由なども含め、
『何人(なにじん)なのか』
『アイデンティティとは何なのだ』
と考えることが少なからずありました。
今、私自身が生まれ育った国とは別のところで、基本的には自分の母語でない言葉を中心に生活をして、その国で『国民としての義務を果たしている』という立場に立つようになって、
『私は日本人ではないのか?どうすべきなのか?』
と考えることがあります。
そしてやはり
『私は自分という人間として、この国で生きていきたい』
という思いがあります。
その思いを守り、自分の存在をこの国で確立するためにも、今回永住権を申請できたことは、自分の人生においてもとても大きな出来事となりました。
今回このまま無事に永住権の申請が受理され、得られることが出来れば、これまで『いつ強制帰国させられるような悲惨な事態に陥るか』と怯えていた気持ちにもかなり距離を置くことが出来るようになるので、精神衛生面でも大きな違いを生みそうです。
永住権が得られると就業に制限がなくなるので、万一仕事を失っても自分がどんな仕事でも必死でやりさえすればこの国に居続けられるようになります。
それは、私にとって大きなことです。
まあ、このまま無事に定年退職するような年齢になるまで今の仕事を続けていけるように修士課程に入ったり、今年の夏研修に参加するのですが…。
ちなみにこういう
『最悪の事態にも対応できるように』とか、『将来を見据えて今こういう行動をしておく』というのも
私だけというよりは、もっと『日本人の考え方や性質』として身についていることのような気がします。
アイスランド人にこの考え方は全くと言っていいほど通用しませんので…。
今年6月から晴れて身も心も
『アイスランドに定住する日本人』
になれることを祈りつつ、まずは目の前の仕事を片付けようと思います。
あああ、来週からもっと怒涛じゃないか…
頑張ります。
どうか、皆様が笑顔で過ごせる週末になりますように。
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